以前、当時の菅首相は「最終的には生活保護がある」と国会で答弁していました。
とはいっても、生活保護自体はハードルが高く、親族への扶養照会の大きな壁や
持ち物の制限などで、躊躇している方も多いと思います。

生活保護、3人に1人が「家族に知られたくない」。扶養照会が大きな壁に(アンケート調査) | ハフポスト NEWS

今回私は、休職中で会社から給料が入らない状態に陥ってしまいました。

傷病手当金は受給できるのですが、申請から早くて2週間後、
遅い場合には1ヵ月後とのことで、いつ受給できるか分かりません。

しかもこの傷病手当金は、
例えば「これから30日間休みます」という事前申請はできず、
これまでに30日間休みました」という事後申請になるわけです。

ということは、給料が途絶えてしまいます。
その結果、貯金が無い私は日々の生活が危うくなりました。

そんな時、一か八かで区役所へ相談し、生活保護の申請をしたところ、
無事受給が決定しました。
今回は、その時の流れなどをお話ししたいと思います。

大前提:生活保護を受けるには最低生活費を下回っていることが必要

生活保護 中央区ホームページ

生活保護とは、国が最低限度の生活を維持するために必要な
生活費や医療費をサポートしてくれる制度ですので、
大前提として国が定める最低生活費を下回っている必要があります。

この最低生活費は、お住いの地域によって異なります。

ご自身の収入がこの最低生活費を超えているか下回っているか
お知りになりたい時は、最寄りの福祉事務所へ相談するか、
生活保護の自動計算サイトで、お住まいの地域や同居人数などを入力し、
調べてみてください。

区役所へ相談した背景

私が、実際に区役所へ相談したのは、先月末でした。

当時の所持金は、300円程度しかなく、
銀行口座にも500円しか入っていませんでした。情けない限りです。。

そのうえ、先月は持病の影響でシフトを削って出勤していたため、
来月入ってくる給料も有給込みで6万円前後の見込みでした。

そこで、区役所へ次のように状況を電話で説明し、相談しました。
・ 現在、うつ病で医者から1ヶ月間の休職の診断書が出ている。
・ 会社にも休職手続きはした。休職中は給料が出ない。
・ 傷病手当金は、1ヶ月休職した後の申請になるため、現在申請もできない。
・ 現在の所持金が500円しかなく来月の振込予定の給料も6万円ほどしかない。
・ ほかのコロナ支援策も当たってみたが、どれも対象外だった。何か支援策は無いか。

区役所からの回答は、こうだった。
・ 現状、生活費が500円程度では日々の生活もできないはず。
・ 一度、役所に来ていただいて話を聞きたい。
 そのうえで、保護調査に入るか検討させていただきたい。
・ また、保護調査開始になれば一時的に費用の貸し出しもできる。

上記のやり取りを受け、翌日役所へ行き、無事2週間後に受給決定しました。

高価な資産などは売却の必要あり

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もし、高価な貴金属や高級車、腕時計などをお持ちでしたら、
それらは保護申請前に売却し、生活費に充てる必要があります。

また、土地や別荘などを持っていらっしゃる方も、手放す必要があるでしょう。

車やバイクなどは所有できる可能性あり

お住まいの地域が、交通機関の便が悪く、通勤や通学、通院などに
車やバイクが無いと行けないような時は、事前に申告していれば、
売却せず所有したまま保護が受給できる可能性があります。

このような時は、隠さずに申請時に報告し相談してください。
あとでバレると、せっかく所有が許可されるかもしれないモノの為に、
保護費の不正受給となり、返還しないといけなくなるかもしれません。

ちなみに私は、時価3万円相当の原付バイクを保有しておりましたが、
売却指導を受けることなく、そのまま保有が許可されました。

車やバイク保有のままの時の条件

私は原付バイクを保有していることを話したのですが、
車やバイクを運転するには、自賠責保険と任意保険の加入が必要ですよね。

会社に自動車保険証券のコピーの提出を求められた!見つからない場合はどうする?

原付バイクについては、任意保険は加入されない方も多いと思いますが、
私の場合は、親から譲り受けたバイクでしたので、
保険の名義は、自賠責も任意保険も親名義でした。
ファミリー特約で家族の私も適用対象だったので、役所からはOKが出ましたが、
「指導」ではなく「助言」という形で、名義を可能であれば自分名義に変更し、
変更した場合は、その保険証のコピーの再提出を依頼されました。

つまり、自分で保有して自分しか運転しないのであれば、
家族名義の保険証であっても、自分名義に変えたほうが良い
ということですね。

健康保険については解約しなくてOKだった

ここも私の場合は念入りに確認しました。

私は、傷病手当金を申請予定でしたが、健康保険を脱退してしまうと
傷病手当金の受給資格が無くなり、受給できなくなってしまうからです。

すると、本来であればやはり健康保険は脱退しなければいけないのですが、
会社に籍がある状態なので、脱退せずにそのまま加入で良いということになった。

そして、病院へ通院する際は、役所から発行する医療券と保険証を出すよう言われた。

なお、この場合の保険料については、通常は生活保護で免除だが、
今回のケースの場合は、事情が事情なので、自己負担
になった。

厚生年金について

現在、会社で加入している厚生年金についても聞いてみた。

厚生年金は、会社を退職しない限り継続される。

これも、国民年金であれば生活保護は免除なのだが、
厚生年金は免除規定が無いということで、いったん自己負担扱い
になった。

病院代について

生活保護受給中は、生活保護の医療扶助によって医療費は全額免除になる。

だが私の場合は、健康保険も持っているため、健康保険組合と生活保護双方で負担する
という形式をとるようで、通院の際は健康保険証と医療券の提示が必要と言われた。

いずれにしても、窓口負担は無しだ。

診断書代は?

病院の診断書代は、生活保護でない場合、通常保険適用はされず自費扱いになる。

私の通っている病院でも自費診療で、診断書料金は
・ 一般の診断書:3,000円〈会社などに休職手続きで証明するために利用〉
・ 自立支援医療の証明書:7,000円〈自立支援医療者証を発行するために利用〉
であった。

これらの診断書については、事前に福祉事務所へ相談したうえで、
福祉事務所が必要と認めるものについては、生活保護から全額支給されるとのことだった。

申請時から受給までに支払った病院代や薬代は?

受給が決定した際に、申請日から受給決定日までに支払った医療費については、
福祉事務所からの返金ではなく、病院や薬局からの返金になる。

その為、領収書と保護受給者証が必要
ただし、福祉事務所によっては事前に相談していれば、
病院や薬局に事前に電話してくれることで、通院時点で返却してくれることもある。

医療保険や死亡保険などの生命保険関係

役所の相談の際に、
医療保険や死亡保険などの生命保険に加入しているか聞かれた。

これは、解約返戻金があるものやあまりに高額な保険料などの場合は、
解約を指導される
ようだ。

私の場合は、県民共済に入っており、共済保険なので掛け捨てで安価なため、
そのまま加入を許可された。保険証書の提出は必要

住民税

生活保護の受給になると、住民税は非課税になる

なお、所得税は現在の所得に対し課税されるのに対し、
住民税は昨年の年収に対して課税されるため、会社を休職しても辞めても
通常であれば課税される。

その為、この住民税も不足分については、
普通徴収に切り替わり、納付書が郵送されるのだが、
福祉事務所から保護受給者証を発行してもらい、
区役所の課税課で免除申請の手続きをすることで以降の支払いは免除される。

所得税

所得税は、今まで会社の給料から源泉徴収で天引きされていた。

働いていないので収入は無い。つまり天引きする収入が無い。

よって非課税だ。

軽自動車税

私は、原付バイクを保有したまま生活保護の受給が決定したので、
4/1付で保有していると発生する軽自動車税の納税義務がある。

これも、軽自動車税課に相談したところ、
納付書が届き次第、保護受給者証を持参すれば免除されるとのことだった。

なお支払期限が5月末の為、
5月中に申請に来なければ免除は適用されないようだ。

保護費から借金の返済はできない

保護調査の面談の際に、資産と借金の有無を聞かれたのだが、
この時点で私は借金がコロナ融資も合わせ300万近くあった。

その為、すでに法テラスに相談し、
債務整理の手続きを依頼していた旨を伝えた。

この点、受給が決定した際に改めて注意され、
保護費から借金の返済はできない。
保護受給中に新たに借金をすると収入認定され保護費が削られる。
悪質な場合には、停止や廃止、また返還請求などもあり得る。
などの注意があった。

すでに借金がある方は、
生活保護申請前に自己破産を検討したほうが良いでしょう。

保護調査開始決定から受給決定まで

生活保護の相談に役所に訪れた際に、保護調査開始となったのだが、
生活保護の可否決定は生活保護法の規定で14日以内に通知するよう
定められています。

私の場合は、ちょうど14日後に区役所から電話があり、
受給決定を知らされました。

保護受給までの資金の貸し付け

私は冒頭に説明した通り、所持金500円しかない状態でした。

面談の際にも保護の決定まで14日程度かかる旨伝えられました。
さらに支給が決定しても、初回入金日がさらに1週間後とのことです。

これでは御飯が食べれません。

そこで、面談時に相談したところ
ケースワーカーの家庭訪問を受けた後でなければ、貸付できないとのことで
家庭訪問を当日してもらえないか相談し、当日来てもらいました。

家庭訪問終了後、再度役所へ行き、
ケースワーカー同行で役所内の社会福祉協議会の窓口に行き、
臨時特例つなぎ資金として3週間分の日銭(500円×22日)として
11,000円を借りることができました。

借りた費用は、初回支給日に返済ということでした。

家庭訪問とは何をするのか

実際に家庭訪問に来たケースワーカーからは、
部屋の間取りや部屋に備え付けてある家具家電について確認がありました。

また、家庭訪問の際に家族構成や勤務先などを聞かれます。

家庭訪問自体は20分程度で終了しました。

気になる扶養調査は?

生活保護で一番ネックとなるのは、扶養調査ではないでしょうか?

これは、親族などの身内から経済的援助を受けれないか、
役所のほうが「扶養調査書」という書類を
住所の特定できる親族に送付し、回答を要求するものです。

もちろん、これで経済的に余裕のある親族がいたとしても、
その親族が”拒否回答”の返信や、そもそも期限までに返信しなければ、
扶養不可と認定され、扶養調査はクリア
とされます。

ただし、人によっては
・ 親や親族に知らされるのが恥ずかしい。
・ 身内に迷惑をかけたくない。
・ 親族とは仲が悪くかかわりたくない。
・ 配偶者からDVを受けていた。または家庭内暴力を受けていた。
など知られたくない事情や状況は様々あると思います。

私も、実質傷病手当金を受給できればおそらく最低生活費を上回り、
生活保護も支給停止か廃止になることは分かっていましたから、
それを伝えて、『2ヶ月程度の保護依頼になると思うので、
その為に家族などに知らされたくない』と伝え、何とかできないか相談しました。

すると、配慮してくださり、扶養調査はしない方向で調査が進められました

実際、親兄弟含め家族には生活保護を受けていることはバレていません

私が保護申請の面談時に必要だったモノ

私が、保護の相談を電話でした際に、以下の資料を持参するよう言われました。

・ 医師の診断書(会社に提出済みなどで無ければ不要とのことでした)
・ 直近の給与明細書3ヵ月分
・ 運転免許証
・ 健康保険証
・ 年金手帳
・ 自賠責証明書および任意保険者証
・ 県民共済の保険証書
・ 印鑑
・ 通帳またはキャッシュカード(使用中のモノ全部)

最後に

最後に私は、会社に在籍中ということで、いろいろと制約がある中での保護受給でした。

まず、上記説明通り

・ 年金:通常であれば免除だが、厚生年金の為、免除不可。

・ 健康保険:通常であれば免除だが、在職中+傷病手当金受給予定ということで
     国保に切り替えることもできず、免除不可。

よって、これらの社会保険料の自己負担分については、
実際に傷病手当金が受給できてからは控除対象になるが、
受給前の段階では控除も生活保護の上乗せもされず、自己負担になるとのことでした。

まとめ

いかがでしょうか。
今回は私の経験を踏まえ、会社に籍がありながら休職中の為、無給。
しかも傷病手当金も2ヶ月後には受給される見込みの状況で、
保護申請した結果をまとめてみました。

結論、私の場合は、傷病手当金が受給されるまでの間という条件付きで
生活保護の受給が決定しました

また会社に在籍中でしたので、異例づくめでした。
通常とは違う状況のおさらいです。
・ 健康保険:現在持っている保険証はそのまま加入
   また、傷病手当金受給の為、健康保険料もそのまま免除ではなく負担。
   ※ 通院の際は、区役所発行の医療券と保険証を同時に提出。自己負担なし。

・ 厚生年金:在職中の年金保険料の免除は不可。払わなかった場合は”未納”扱い。

・ 住民税:天引きが無くなるため、自分で納付する普通徴収に代わる。
   その為、別途区役所課税課で免除手続き

・ 軽自動車税:原付バイクを保有したままの受給の為、こちらも課税課で免除手続き